【有川】 太田墓地にある六地蔵塔
太田郷の太田墓地に六地蔵塔がありました。
▲六地蔵塔は 太田新左衛門顕彰碑 がある太田墓地の入口の真正面にあります。
▲以前ご紹介した青方郷の六地蔵塔の案内板には、「六地蔵塔は新上五島町に、青方と
若松島の間伏郷の2基しかない」と書かれていましたが、まさか太田にもう1基ある
とは思いませんでした。
▲六地蔵塔の前には奇妙な椅子や台みたいなものがありますが、実はこれ「お葬式セ
ット」だそうです。新上五島町には斎場がありませんので、ほとんどの場合お葬式と
いえば自宅や地域の公民館などで行われますが、数十年前までは墓地で行うのが主流
だったそうです。
向かって左側のベンチみたいなものが「お焼香台」。背もたれのようになっている部分
には、遺影を置くのかもしれませんね。さらに、右下の蓮華座に「棺桶」を乗せて「南無
阿弥陀仏」と唱えながら棺桶の周りを3回廻る習わしだそうですが、これは太田に限った
習俗ではなくて、私の知る限りでは有川地区でも行われていたようです。
▲蓮華座が正方形なのは、土葬だったころは文字通り「桶」に遺体を入れていたから
でしょうね。
▲六地蔵塔の前にある台には、お供え物を置くそうです。
▲六地蔵塔の竿には寛延三年(1750年)九月の銘が刻まれていますが、塔自体の
由来などはわからないそうです。
▲青方郷の六地蔵塔は、青方氏15代・太田玄種という人物が、生前に自身の死後の
冥福を祈念する「逆修」を行うために建立したとされますが、よくわかる「仏事」と
いうサイト によりますと、
六地蔵とは「六道能化の地蔵菩薩」の略称です。 六道輪廻に迷いやすい私たちの心に
応じて、お救いくださることから、 六道能化のお地蔵様「六地蔵」と呼ばれています。
地蔵菩薩を信仰することでの功徳には、地蔵三部経の一つ地蔵菩薩本願経 によると
「地蔵菩薩を供養すれば、一切の罪が消えて百福を招いて とう利天 に往生できる」
「死者の追善供養は死者とともに生存者にも莫大な福利を請来する」 「堅牢地神の守
護を受けて地蔵菩薩を供養すれば土地が豊かになり、 家が永く安らかになるなどの利
益を受ける」 と大きな功徳が説かれています。
太田玄種公は、「逆修」という方法を使って「死者の追善供養は死者とともに生存者
にも莫大な福利を請来する」という地蔵菩薩の功徳の全てを、自身の生存中に求めて
六地蔵塔を建立した、ということです。
▲太田の六地蔵塔は最初からこの場所にあったのか定かではありませんが、「お葬式
セット」の一部でもあることから、「死者の追善供養」の意味合いが強いのかもしれ
ませんね。
▲新上五島町の六地蔵塔。今後は太田のを含めて3基でいいんじゃないかと思います。
まだまだ探せばいっぱいありそうですね。
【参考文献】